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2010年7月 7日 (水曜日)

願いの短冊

ささの葉 さらさら

のきばに ゆれる

お星様 きらきら

金銀砂子

 

 

どこからか子供たちの無垢な歌声が聞こえる

ちかくの幼稚園から聞こえてくるのだろうか

マリコは厚い雲に覆われた空を

出窓にひじをつき、その手のひらの上にあごを乗せぼんやりと眺めていた

今日は七夕

マリコは子供たちの歌声を聞きながら思った

あの子達の書いた短冊には夢と希望に溢れた願いだけが綴られていることでしょうね、と・・・

 

 

 

いつもはほとんど行くことのないハンバーガーショップ。

ファーストフードとは無縁の友人たちに囲まれていたせいもある。

自分自身も決して好きとは言いがたい。

会社のランチタイム。勤め先の同僚に誘われるままに「たまにはいいかな」と入ったハンバーガーショップ。

注文カウンターの横に色とりどりの短冊で飾られた笹が活けてあった。

笹のそばのミニテーブルには、折り紙を切って作られたまだ願いごとの書かれていない短冊と、サインペン、そして筆ペン、それから、【ご自由に願い事を書いて笹を飾り付けてください】と几帳面な字体で書かれたメモが置いたあった。

注文した商品が出来上がるまでの時間にどうぞということ。

「へぇ・・・、筆ペンまで。」

いろいろな年齢層のお客が集まるお店なのだろう、サインペンのほかに筆ペンまで置いてあることに、店長の心遣いと粋が感じられた。

私も・・・と思い、筆ペンと空色の短冊を手にとって思案していると、ふと既に笹に飾りつけてある同じ空色の短冊に目がいった。

そこにはこんな願いごとが書かれていた。

『全品無料にして欲しい』

それも筆ペンによって書かれ、楷書体ではなく崩された字体だったが、すんなりと読むことができたので行書体なのだろう、そして達筆であった。

これを書いた人はいったいどんな人なのだろうと考え、あまりに無茶な願い事に可笑しくなって、「どうしたの?」という同僚をよそにくすくすとその場で笑い出してしまった。

楽しい気分のまま、いざ自分の願いごとを綴ろうと筆ペンを持ち直したときにふと我に返った。

願い事━━、それを尋ねられ、真っ先に心に浮かぶ願い事はひとつだけ。

しかし、その願い事は、失礼だがファーストフード店の販促の一環として活けてある笹に飾りつけるには不釣合いだし、何より『全品無料』よりも無茶な願いであることは自分自身が重々承知していることであった。
 

 

 

 

今日は七夕

朝からどんよりと雲っていたが、夕刻にはとうとう雨が降り出してしまった

七夕の雨は催涙雨。織姫と夏彦の涙・・・

晴れていたからといって、マリコの願いが聞き遂げられることはあり得ない

それでも、願ってやまない切ない想い・・・

「もういいんだよ?十分だよ。君は君の行く道を・・・」

そんな言葉が聞こえるたび、最後の言葉を聞く前に耳を塞いでしまう

分かってる、歩みを止めてしまっているのは私自身だってこと

分かってる、引き返す道があったとしても、その道は独りぼっちだってこと

分かってる、無垢な子供のように夢と希望だけに溢れた願い事を短冊に書けたなら、と。

それでも、短冊に書いてしまった本当の願い・・・

 

どれほどの時間をかけたのだろう

ゆっくりと1文字ずつ

何かを心に刻むように・・・

短冊を書き終えると、雨音がしていないことに気がついた

出窓に切り取られた夜空には、雲を少しだけ残して月が煌々と輝いている

そう、俯いて、囚われてしまっていては、雨があがっていることにさえ気がつかなかった

一年に一度きり

マリコは素直に良かったと思った

夜空に厚く垂れ込める雲だって、ひとしきり雨を降らせ霧散してしまえば

そこには輝く月と星々が顔を出す

 

それからマリコは新しく短冊を用意して、5つの願いごとを記した

お願いがあるの

うん・・・、ずっと、ずっと、私を見守っていて

 

 

五色のたんざく

私が かいた

お星様 きらきら

空からみてる

 

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コメント

ええっとこんにちはー
昨日ネオチしてたものです><
寝てて挨拶が出来なかったのでコメントさせていただきました。

投稿: yui | 2010年7月 8日 (木曜日) 19時08分

>yuiさん
あら、ご丁寧にありがとうございます♪
くるくる回ってましたね(^-^;)

投稿: ハルル | 2010年7月10日 (土曜日) 10時02分

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